さあ、始めるわよ。

二人とも、”ジカウイルス”って、聞いたことはあるでしょう？

あら、自信無さげな返事ね。

気持ちはよくわかるわ。

ただ、報道で世間に認知されている疾患については、早めに把握しておかないとね。
この機会にポイントをまとめておきましょう。

ジカウイルスは、デングウイルスと同じフラビウイルス属なの。

ん、いいこと言うわね、吉永さん。

ジカ熱は軽いデング熱のようなものをイメージしてもらうといいわ。

他にも斑状丘疹結膜充血関節痛が見られるとされているわ。

インフルエンザウイルス感染症様の症状だけど、インフルエンザほど高熱にはならないわ。

二人とも、よく知っているわね。なのになんでジカ熱のことが抜けているのかしら？

さて、じゃあ、ジカ熱の媒介動物は何でしょう？

正解よ、吉永さん。

媒介動物もデング熱と同じ、ネッタイシマカなの。

あとヒトスジシマカかしら。

でも、ジカ熱は経胎盤・経産道感染性交感染を起こすこともあるの。

気をつけないとね、池田くん。

いい質問ね。
検査は、尿や血清でのPCR法・抗体検査、そしてペア血清よ。

でも、そのIgM抗体、IgG抗体はジカウイルスに近縁のフラビウイルスであるデングウイルスに対しても反応すると言われているわ(交差反応)。

デング熱は、ジカ熱と違って潜伏期間が10日間前後と言われているし、デング熱ほど重症化することは稀だから、臨床徴候とアナムネが診断のkeyとなるわね。

タイ、そしてポリネシアよ。

だから、予防が大切なの。

簡単に言えば、虫よけ剤よ。
蚊への忌避剤として、イカリジンとディートが挙げられるかしら。

ディートは小児への使用制限があるけど、イカリジンには年齢制限が無いわ。使いやすさで言えば、イカリジンかしらね。

温暖化の影響で、日本にいながら輸入感染症にかかるリスクも増しているから、日本国内の虫よけ剤にもイカリジン配合のものが増えてきているわね。

そう。アセトアミノフェンが中心になるわ。
世間で騒がれるほどの危ない感染症ではないから、一週間もすれば快方に向かうわよ。

ええ。特にギラン・バレー症候群の合併が問題になるわ。

少しマニアックだけど、ジカウイルス感染症へのアスピリンやNSAIDS投与は、出血症候群を助長するから控えるように、とされているわね。

そして、ジカ熱が経胎盤感染ないし経産道感染した場合の合併症なんだけど、
小頭症
先天性内反足
先天性関節拘縮
網膜異常
が報告されているわ。

次回は、同じく世間を騒がせたトピックスとして、ヒアリについてお話しましょう。