・・・。

・・・。

うーんと・・・。

・・・池田くん、私はあまり「自粛推進！！」とは考えていないのよ。

池田くん。
今回のコロナ騒動では、今の日本社会のさまざまな問題点が浮き彫りになった・・・と考えるべきよ。

まず、コロナ・・・つまりCOVID-19のことなんだけど・・・

そもそも”流行”といえるのかしら？

何人から”流行”とするのか・・・その定義は曖昧なんだけど、一つの県で数人程度感染者が出るか出ないか、という状況って・・・、冷静になって考えてみると流行とはいえないんじゃないかしら。

「偽陰性を含めるともっといる」という理屈を言い出すときりがないわよ。
だって感度も特異度も100%の検査なんて存在しないわ。
どんな疾患にもあてはまるハナシよ。

だから、PCRで偽陰性云々を言い出すと論点がずれていくだけ。
テレビ番組では、意図的にそうした方向にもっていこうとする解説者もチラホラいるけど、医療従事者は騙されてはいけないわ。

それに、海外のテレビで報道しているような”COVID-19患者”=”ウイルス陽性者”とは限らないのよ。

たとえば、このLancetに掲載されたCOVID-19のクラスターを解析した論文をみてほしいの。

内容はあとで熟読してほしいんだけど、とりあえず確認してほしいのは、この論文で”COVID-19症例と定義された群”についてよ。

そのとおりよ、吉永さん。
この論文におけるCOVID-19症例とは、「臨床的にそう診断された人」も含めて解析しているの。

少なくとも、日本ではマスメディアがPCRを喧伝したせいか、
「PCR検査が陽性なら感染者、陰性なら感染者じゃない、けど陰性者の何割かは感染者」
という風に認識されて統計をとられているわよね。

良くも悪くも一応クリアカットで、大衆からも理解を得られやすいわ。

つい半年前までは「キズナ、キズナ」とか言っていたのに、手のひらを返したように「ソーシャルディスタンス！」だからね。

マスメディアの変貌ぶりに疑問を感じない人が多いことも、相当問題だと思うけど。

それに、海外は医療保険制度がない国が多いし、貧困層が日本の比ではないの。
医療サービスの水準がちがったり、COVID-19の診断基準まで曖昧なこともかんがみると、海外からの報告はアテにしないと考えた方がいいわよ。

もっとも、さっき触れたように、日本がPCR至上主義に走った結果、「陰性なら善、陽性なら悪」と二極化されて社会差別が生まれているのも大きな問題だけど。

大衆は集団ヒステリーにさらされると、安易な答えに誘導されるものよ。
日本が太平洋戦争に突入したときも、大衆のヒステリーが後押しして「戦争反対論者=非国民」だったでしょう？
今もまったく同じ構造ね。

「コロナは大したことない」とでも口走るとバッシングの嵐にさらされる。

質問を質問で返して申し訳ないんだけど、池田くんはどうしてCOVID-19が危険だと思っているの？

素直なことは美点よ、池田くん。

そうね。それで大勢の方が亡くなっているものね

もしかしたら、他のウイルス性疾患に比べれば若干サイトカインストームが起きやすいのかもしれないけど、それにしたって死亡者数や重症者数があまりにも少ないわ。
高齢者や不摂生で免疫系が不調子だとサイトカインストームがおきやすい、というのは、いわば”あたりまえ”
なのに、大衆は「悪いウイルスのせいで、罹ったら死ぬ！」という暗示をかけられてしまっている。

第二波のときは、「再び緊急事態宣言を出してほしい(=つまり、国民の自由と主権を束縛してほしい)」という意見が大半から発せられて、それに異論を唱えると集団バッシングの様相を呈していたわ。

わたしは、政府が毅然と「宣言不要」という姿勢を貫いて国民の自由を守ったのは立派だったと思うわ。
”歴史を勉強して過ちを繰り返さない”というのは政治家としてああいう判断を下すことね。

あら？
春先の緊急事態宣言については私は正解だったと思うわよ？

「宣言のとき、すでに推定発症日のピークが過ぎていた。だから、宣言は不要だった」という論説は理解できるわ。

けど、当時の市民感覚を思い出してほしいの。

●マスクは充足していたかしら？
●感染対策をどうしたらいいか、肌でわかっていた人が近くにいたかしら？

「コロナが大したことない」と言えるのも、死亡者数が少なくて、あまり心配しなくてもよさそうだ、というのがわかってきたからこそ言える話でもあるのよね。

だから、疫学的観点から「緊急事態宣言は不要だった！」と述べるのは一つの正しい理論ではあるのだけれど、現場の感覚からすると、大衆側も病院側も”準備期間”は必要だったわけ。
相手の正体がつかみきれないタイミングで、無根拠に「コロナはただのカゼ！」と言い張る方が不用心じゃないかしら。

不要不急、そして人混みを避けた結果、カゼを引いて受診してくる人が激減したでしょう？
あれでかなりマスクやガウンの消費を抑えられたと思うわ。

もっとも、以前から医療従事者が啓蒙してきたことが実現した結果、病気にかかって受診を必要とする人が減ったんだから、世の中のスジ的には病院がヒマなのは良いことではないかしら？

病院側の都合はわかるけど、きちんと疾病予防に努力をして、病気が減って病院なんかに行かずに済めばなによりよ。

えーと、2020年10月6日現在のコロナの総感染者数(回復者含む)は8万6000人くらい。
で、死亡者数は1600人前後ね。

池田君。
窒息による死亡者数って、年間何人か知っているかしら？

厚生労働省の人口動態統計によると、窒息による年間死亡者数は、だいたい4000人/年くらいよ。

正月のモチなんかが有名ね。
最近になって、
「コロナよりモチの方が危険」
と、コロナの過剰な自粛を皮肉る意見も目立ち始めているわよ。

今回のコロナ騒動では、日本社会のさまざまな問題点が浮き彫りにされたわ。

●新興感染症に対して、病院を含めた社会の各システムがいかに脆弱、かつ不用心であったか。
●国民がいかに容易く集団ヒステリーに陥ってしまうか(ヒステリー下だと、どんな非道も”正しいこと”と錯覚してしまう)。

根拠のないことを言うのは避けるべきなんだけど、政争関連に国民の視線を向けさせて、コロナ騒動を風化させたいという思惑もあるのかしらね。五輪もあるでしょうし。

もしくは、テレビ局のスポンサーサイドからも、過剰なコロナ報道を控えるようにお達しがあったのかしら。

ええ。
最初に言ったとおりだったわね。

「正しく恐れよ」ね。