世界一わかりやすい心房細動と肺静脈隔離術のハナシ~基礎編~

医療トピックス

【この記事は、2021年9月22日に修正しました。】

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朝比奈先生
・・・・・・

吉永さん
どうしたんですか、朝比奈先生?

朝比奈先生
ん?
技術の進歩ってスゴイなぁ~って、思ってね

池田くん
??

吉永さん
技術の進歩?

朝比奈先生
ふふ・・・・・・。
これのことよ

吉永さん
これって・・・・・・

池田くん
カテーテルアブレーションじゃないですか

朝比奈先生
そう。
心房細動の治療がここまで大きく変わるなんて、10年前は思いもしなかったわ

吉永さん
2021年の今では、あちこちの病院でアブレーター(アブレーションのスキルをもつ不整脈医)が引っ張りだこですよね

池田くん
でも、不整脈のアブレーション治療って、今ひとつよくわからないんですよね

吉永さん
わかるわ。
あの心内心電図って、なにがなんだか・・・・・・

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池田くん
とりあえず、不整脈の原因になっている悪い電線を焼き切ってしまうってコトですよね?

朝比奈先生
う、う~ん・・・・・・

吉永さん
ちがうんですか?

朝比奈先生
そうね・・・。最近は新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)のことばかりテーマにしていたから、今回は心房細動についておさらいをしてみましょうか

吉永さん
はい、お願いします

朝比奈先生
まず、何から話せばいいかしら・・・・・・

池田くん
あ、あのぉ~・・・・・・

朝比奈先生
??

池田くん
できれば、かなりカンタンに教えてもらると助かるんですが・・・・・・

池田くん
不整脈の先生のおハナシって、急に「スロー・ファースト」だの「まわってる」だの、専門用語を知っている前提での講義が多くて、ついていけなくなるんです

朝比奈先生
・・・・・・そこまで堂々と言えると感心ね。
知ったかぶりをしないのは美徳だわ

朝比奈先生
じゃあ、患者さんに説明をするような流れで解説をするけど・・・・・・

池田くん
はい、助かります。

朝比奈先生
まず、
「心臓は放っておいても勝手に動いている」
そうじゃない?

吉永さん
そ、それはそうですね。
いちいち「動け動け」って念じなくても、心臓は勝手に動いています。

朝比奈先生
それはどうしてかってところから考えてほしいの

吉永さん
え、えーと・・・・・・、なんて言えばいいかしら・・・・・・

朝比奈先生
ざっくりと話すと、それは心臓が”自分で電気をつくって流しているから”なの

池田くん
刺激伝導系ってやつですよね。

吉永さん
発電所にあたるのが、洞結節でしたよね。

朝比奈先生
そのとおりよ、吉永さん。

朝比奈先生
年配の患者さんには、まずそこから言わないと絶対についてこられないわね

池田くん
でも、「心臓に電気が流れてますよ」なんて、突拍子がなくてピンとこないんじゃないですか?

朝比奈先生
証拠を見せればいいのよ

池田くん
証拠なんて、電気が流れている様子なんて見せられないじゃないですか

朝比奈先生
あら、あるじゃない?”心電図”が

池田くん
あ、そっか!
心臓が電気を流している図だから心・電・図ですもんね。ハッハハ!

吉永さん
いやだわ、池田くん。一人で言って一人で笑ってるわ・・・・・

朝比奈先生
・・・・・・で、実はね。
心筋細胞ひとつひとつに、洞結節と同じような発電能力があるの。

池田くん
あー、学生の頃に生化学の授業で習った気がします。”自動能”でしたっけ?

朝比奈先生
そう。
でも、もしも心筋細胞ひとつひとつが自分勝手に発電したり放電したりしちゃったら、心臓はどうなると思う?

朝比奈先生
心臓は、全身に高率よく血液を駆出するポンプなのだから、心筋全体がまとまった動きをしてくれないと困るわけでしょう?

池田くん
そうですね。


朝比奈先生
模型を使って図示すると、こんな具合かしら。

朝比奈先生
この心筋たちの電気活動を小学校低学年の学級活動に例えるとわかりやすいわ。

吉永さん
小学校の低学年クラスって・・・・・・、なんだか騒がしそう。

池田くん
放っておくと、まとまりませんよね。

朝比奈先生
みんなでまとまった学級活動(正常な心拍)をするために、クラスのとりまとめが必要でしょう?

池田くん
その学級委員長にあたるのが、洞結節ってわけですか。

朝比奈先生
そのとおりよ、池田くん。
ちょっと乱暴なセリフ回しをするけど、学級委員長(=洞結節)が、
「いいか、お前ら(=ほかの心筋細胞たち)!
お前らが自分で電気を作れるのは知っているけど、お前らが自分勝手に発電したり放電したりすると、まとまった学級活動ができないだろ。
だから黙ってオレの言うことだけ聞けっ!」
と、他の心筋細胞の電気活動を抑え込みながらクラスをまとめているの。


朝比奈先生
もう少しキチンとした表現をするなら、”一番刺激頻度の高い心筋細胞(=洞結節)・・・・・・つまり、もっとも早い心拍数をたたき出す細胞が、他の心筋細胞が電気活動を始める前に心臓を刺激して主導権を握ってしまう”ってところなんだけども

池田くん
なんか独裁者チックですが、洞結節が強いリーダーシップを発揮して、ほかの心筋細胞たちがイタズラしないようにしてくれているおかげで、心臓が効率よく動いていられるワケですね

朝比奈先生
さて、ここから心房細動のハナシです

吉永さん
はい

朝比奈先生
絶対君主的な洞結節に対して、肺静脈と左房の接合部付近の細胞たちが反乱をおこします

池田くん
「なんだ、洞結節のヤロウ。学級委員長だからってナマイキだぞ」
って具合ですか?

朝比奈先生
そう。
肺静脈と左房の接合部付近の細胞たちが、
「あんな洞結節のいうことなんか聞かなくていいんだ。オレたちはオレたちで、勝手に電気つくって勝手に電気を流して、クラスみんなを扇動しようぜ」
と騒ぎだすのね

朝比奈先生
まあ、どこのクラスにもいるツッパリくん・・・・・・古い呼び方をするなら”不良クン”とか”ヤンキー”たちね。

吉永さん
その・・・・・・いわばクラスのヤンキーって一人なんですか?

朝比奈先生
とてもいい質問よ、吉永さん。
この学級委員長(=洞結節)のいうことを聞かないヤンキーくんは、単独ではなくグループだっていうところがミソなの


朝比奈先生
一匹オオカミタイプの、友達のいないツッパリくんではなく(←ちなみに、この一匹オオカミ型不良を単発性期外収縮という)、何人かでつるんでいる不良グループなのよ。彼ら一人一人が、それぞれ思い思いにクラスに指示(電気)を流しこむのよ

池田くん
あー、だから心房細動の心拍って、不整になるんですね

吉永さん
あのf波(fibrillation波:心房波)は、この不良グループの一人一人が騒ぎ立てた結果だったんですね

朝比奈先生
こうして、洞結節は不良グループたちにクラスの指揮権を奪われてしまうの

朝比奈先生
学級委員長(=洞結節)が、
「起立!礼っ!着席!」
と号令をかけようとしたら、その学級委員長よりも早く不良グループが号令をかけてしまうようなものね

池田くん
「おっと、イインチョーに号令させてたまるか」
「オレが先ー!」
「オレも!」
「オレが先だって!」
・・・・・・っていう感じですね。

吉永さん
洞結節、涙目ね

朝比奈先生
さて、なんとかして正常な脈・・・・・・つまり学級委員長(=洞結節)の指揮権を取り戻したいわね

池田くん
はい

朝比奈先生
その方法を考えておいてもらうのを、次回までの宿題にしましょう

池田くん
えーっ!

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